7/6のねこさん 文は田島薫
王さまねこ天下をとる
土曜の午後、自転車で図書館に行った帰りの途中、フェンスに囲われ砂利を敷き詰めた広
大な平地があり、そこのまん中に茶いろのねこさんがゆったりと寝そべっていた。
その場所は高層マンションが建つ計画があり、周囲の住民たちが反対のメッセージを書い
た看板をあたりに沢山張り付けていたのが、このごろそれが取り外されてるから、多分、
建築主側と住民側となんらかの話し合いがついて、何かの動きが始まる直前の静けさをた
たえた今しばらくだけある空間なのだ。
そんなことは多分知らない王さま、や〜、こんな広いとこ見つけたぞ、ぼくは王さまだか
らどこもかしこも自分の土地なんだけど、こないだまでいたとこはまあまあ広いんだけど、
これほどじゃないし、それに、くつろいでると、時々人間の車がぼくの敷地に勝手に入り
込んで来ちゃってたからな〜、もんく言うんだけど、身勝手な人間は耳かさないんで困っ
ちゃってたんだよ〜、とはいうものの、暑い日の日陰や雨の日の屋根にもなるから大目に
みてあげてたんだけどね。そ〜いや、ここにもそういった日にだけ車が入って来るのは、
大目にみてあげることにしよう。
などといろいろ思いめぐらしながら満足そうにあたりを見回してる。
ところで、向こうでこっちをさっきから見てる人間がいるけど、だめだよぼくの敷地をう
らやんだり勝手に入って来たりしちゃ、自転車の貧乏人は。入って来てもいい、って大目
にみてあげるのは、高級乗用車乗った人間だけなんだからな、わかったか、下々。