1/19のねこさん 文は田島薫
うまちゃんとうまにちゃん
家のあたりで一番多く目にするのはうまちゃんなんだけど、見るたんびに、うまちゃん、
って遠くから近くから声かけるんだけど、いつもこっちへ寄って来ることはないにして
も、なんだかずいぶんそっけないな〜、って感じることがあって、うまちゃん、気まぐ
れなんだな、って思ってたんだけど、どうも、そういう時はひとちがい(ねこちがい)
してたらしいことにだんだん気がついてきた。
先日も家の前の道路を歩いて行くのが、うまちゃんだと思って、2階の居間の窓から声
かけたんだけど、ちら、ってこっち見ただけで、ふん、って感じで動じた風もなく、ゆ
っくりと同じリズムで歩き去って行ったし、身体の柄はそっくりなんだけどよく見ると
うまちゃんより小太りだった。うまちゃんはもうちょっとスリムで、動きに微妙なリズ
ムの強弱があり、声かけられた時無愛想にしても、きちんと心の動揺を表現してくれて、
最初に行こうと思ってたらしい方向と違う方へ、少し足早に向き変えて、その歩き方の
リズムも少し遅くなったり早くなったり、障害物にひょいと飛び上がったり飛び下りた
りで変化に富んでいる。
しばらく前、そんな風に歩いて行くうまちゃんをゆっくり追って、花壇の中に座り込ん
でる彼を少し離れたとから観察してたら、こっちをじっと見ながら、こっちに動きがあ
ったらすぐ逃げちゃうつもりだからね、って目をしてるんだけど、あまりそんな心配な
さそうだと見たら、ひょいと寝転ぶまねも見せてくれる。
でもどんな体勢でも目だけはやっぱり注意深くこっちを見てるカタチ。