12/1のねこさん 文は田島薫
帰って来たトースト
どっかから帰って来て、いつもの場所におさまった犬と、旅立った留守番ねこの話を
3週間前に書いたんだけど、きのうの午後、自転車で図書館へ本を返しに行く途中、
同じ場所を通ると、スペースのまん中に寝そべった犬のちょっと離れたすみっこに、
あの焼けすぎたトースト色のそのねこさんが丸くなって寝てた。
お、ねこさん旅から帰って来たぞ、って、自転車止めてながめてると、今までだった
らこっちにほとんど目を合わさない犬さんが穏やかな顔でこっちながめてる。
友だちのねこさん帰って来たんだよ、ぼくが帰って来たらすぐ出かけちゃうもんだか
ら、冷たいやつだな〜、ってぼくもちょっと怒ってたんだけど、やっぱり強がりだっ
たんだね〜、ちょっと長旅に出るよ、もう帰って来ないかもしれない、って言って出
て行ったんだけど、やっぱり寂しくなって早めに帰って来ちゃったんだね。って犬さ
んの顔が言ってた。…多分。
「トースト」の方は旅の疲れと、無事帰って来られた安堵感で気持よさそうに熟睡し
てるようで、いくら見ててもずっと寝続けてるし、犬さんの方も、安心したように、
寝そべって、ま、なんてこともないんだけど平和な気分なんだ。って顔が言ってる。
…多分。