5/21ののらねこ 文は田島薫
まだらとブラッキーとバットマン
初夏の陽気の晴天の朝、出勤して外階段上がって行くと、2階の踊り場から、
数年前によく来ていたのに、うちよりいいエサくれる家がみつかってから来な
くなっていたまだらの兄弟と見られるひとりが、ねこけもの道の方へ出て行く
とこだったんで、おーい、って声かけたんだけど、こっち振り向いて、何です
か?あなたのことは記憶にございませんよ、って顔が言ってからまた歩いて行
ったんだけど、となりのベランダの下からふいにブラッキーが出て来て、まだ
らの尻のにおいをかいだ。
まだらは、ちょっと振り返って、なんだなんだ、やめろよ、って顔で言いなが
ら、ねこけもの道から地上へ飛び下り、どっかへ行ってしまった。
取り残されブラッキーは、えーと、今のはだれだったんかいな、かわいこちゃ
んじゃなかったんかな?って考え込んでいた。
午後、ココア食堂にだれかがエサ食べに来たようだったんで、シャンさんに聞
くと、どーもブラッキーのようだったんだけど、バットマンは?って聞くと、
見ないね、って言うのを聞いてから、路地の見回りに行くことにして1階に下
りたとたんの道路に、うわさのバットマンが後ろ向きで立ち止まっていた。
おー、って声かけると、いつものようにちょっとひねくれたように、さささ、
っと、道路の端のバイクのならんだ向こう側へ身を隠すように歩くんで、ちょ
っと先で待ってて、出て来たところの背中を2回なでた。
小さな庭の家の庭の道路際でミケとトラが近所の人にもらったらしいカリカリ
をカリカリ食べていた。
路地の後酒屋で酒買って戻って来て、階段上がると、まだブラッキーがいて、
ねこけもの道からいつものベランダへゆっくり戻って行くとこだった。