12/11ののらねこ 文は田島薫
バットマンプラス
いい天気の朝、駅から事務所までの途中の路地の曲り角、いつも太ったくろとら
のいる家の前の土の上に彼がうずくまっていた。
土の上、ってのは暖かいんだろーか?、ま、コンクリよりは暖かいんだろーなー、
証拠に、私が、お、ってあいさつしたら、満足そうな顔で、お、って顔をした。
事務所のあるビルの階段を上って2階まで来ると、にゃ〜、って声がして、いつ
の間にか足元にバットマンがいたんで、お、ってあいさつして、背中を少しさす
ってやると、ベランダの向こうへ歩いて行ってからそばの鉄の柱に伸び上がって
つめをといでいるんで、それをのぞきこむと、こっちをちらっ、っと見てから、
また作業を続けたんで、階段上がって、事務所のある3階まで上がると、すぐに、
バットマンも上がって来たんで、背中をさすってやってから、皿と水コップを洗
ってエサを入れて出したら、すぐにそっちへ行って食べ始めた。
しばらくして、ドアの外へ出てみると、皿のエサはちょこっと減っていて、もう
バットマンの姿はなかったんで、あたりを見回したり、下の方をのぞいたりして
から、ふと、ななめとなりの物置きの屋根を見るとバットマンがいて、こっちを
見てるのに気がついたら、あっちはすぐに目をそらして、毛づくろいを始めた。
午後路地の見回りに行ったら、小さな庭の家の庭のみかん箱ぐらいの大きさの発
泡スチロールの箱の中に2せつーとんとくろとらがすっぽり入って、ぎゅ、っと、
シャム双生児のようにくっついて、暖かそうに寝ていた。
ま、たいして、盛り上がった話もなくて、すまん。
(いつ盛り上がった話があったんだってんだ)