8/28ののらねこ 文は田島薫
涼しさと寂しさとごはんほしさと
先週の猛暑が嘘のように、ずいぶん涼しくなったせいか、ねこさんの食欲も戻って
来たようで、朝2階のベランダにいたバットマンはごはんごはん、って言いながら、
3階までついて来て、こっちを見上げながらまた催促した。
皿にエサ入れて水といっしょに運んで行くそばにぴったり寄り添って、すぐに食べ
はじめた。
窓からのぞくと、食べ終わっても、帰らないで、そのあたりでのそのそしてるので、
ブラシ持ってドアから出てって、背中をひとかきしたら、やっぱりブラッシングぎ
らいは直ってなくて一段階段を下りて一息してから、帰って行っちゃった。
きのうの夕方は顔見知りの自宅のとなりの小奇麗な飼いねこが家の前の道路に出て
て、反対どなりの家の前の坂を私が下りて来たら、こっちをじっと見てて、こっち
へ近寄って来たので、おー、って言ってしゃがむと、足に体をすり付けて来る。
いつも会うと目と目であいさつをかわすだけで、こんなことは初めてだった。
ちょうど出て来てこっち見て笑いながら車に乗り込むところのその家の主人に、お
たくのねこでしょ?、って言うと、人なつこいけど、抱くと、こうやるから、って、
手でひっかくジェスチャーをした。
背中を指でかくと、多量の抜け毛がフワと出て、よく見ると体じゅう抜け毛だらけ
だったので、両手でわさわさとブラッシングしてやった。
こっちはのらのバットマンと違って、いやがるそぶりもなく、じっとしていた。
これぐらいでいいだろう、って、雑草のアプローチの自宅へ入って行って、振り返
ると、名残り惜しそうにこっちを見送っていた。