10/24ののらねこ 文は田島薫
バットマン秋に憂れうきょうはからっとした気分のいい秋晴れ、バットマンはとなりの建物のベラン
ダの上にあった古いバスマットのようなものの上で、足を投げ出して昼寝だ。
先週末少し残業した後帰ろうと外階段を下りて行くと、一番下の出入り口に少し張り出しているブロック塀の上の暗闇にバットマンがうずくまっていて
こっちをずっと目で追っていた。
おーバットマン、って頭やあごをなでてやったら、いつもならたいていいや
がって逃げたりするのに、そのまま受けてにゃーなどと、言った。
いつもひとりぼっちのバットマン、さびしい気分だったのかも知れない。
昼過ぎにシャンさんがオーめずらしい、って叫んでるんでドアんとこ行って外見てみると、新人くろが来てて、帰ろうとしてるとこだったんだけど、階段
の下り口から下に首だけ伸ばしてじっと固まっている。
いつまでもそのままなので、そっとドアの外へ出て、わきのベランダの手すり
から下を見たら、下の2階の踊り場でくろの方見てバットマンが固まっている。
そしてしばらく観察してたら、平和主義のバットマンはゆっくりわきの方へ移
動して、通り道を作ってやってから、また、くろの方をずっと見ている。
それでもくろの方も気が強い方ではないらしく、固まったままだ。
ずっと見てたけど、状況に変化ないし、私だって、ホームページの更新などで忙しい身(たいしたこっちゃないっ)固まったものずーっと見てるわけにもい
かん、ってわけでひっこんで、ちょっとしてから行ってみると、ふたつの固ま
りは消えていた。
見回すと、となりの建物のよこの物置きの屋根にバットマンがいて、なんだかもの思いにふけるように座ってひと方向に目をやっていた。
多分バットマンはもう一段妥協してくろの逃げ道を整えてやって、やり過ごした後、自分が気弱でふがいないって、落ち込んでいたのだろう。秋だし。