3/17ののらねこ 文は田島薫
きょうは小雨でうすら寒い猫泣かせ日和だったが、めずらしくドア外にクボセンセイは忘れずにエサを出していた。
昼近くにセンセイがドアの外で呼ぶので行ってみると、階段の途中で立ち止まったまだらしまの兄弟がいた。
まだらしまはいつもひとりで来るのでふたりいたことに初めて気づいた。
センセイが上から呼ぶのだが、動かない。エサ皿を見るとあまりエサは残っていなかったので、足してから、皿を持って
下の兄弟に見せながら呼ぶと、少し大きい方がとととと、上がって来たので、
ひっこんだ。
その時、少しひっこんでいたクボセンセイが、また呼びかけながら出て来た
ようだった。
ちょっとして、見てみると、エサはそのままで、ねこもセンセイも誰も
いなくなっていた。
しばらくして帰って来たセンセイに聞いてみると、上って来たまだらしまと目が合うとまた下へ逃げて行って途中で止まっていたのを、本屋へ行こうと
階段を下りて行くと、ふたりとも逃げて行ったんだそうだった。
ねこの食欲を人間の知識欲が押さえ込んだカタチだろうか。