3/3ののらねこ 文は田島薫
遅番で出勤すると、階段の下の道路のまん中にまだらしまが、さびしそうに立って、こっちを振り返っている。
階段を上がって下を見ると隣の物置きの屋根につーとんがまるくなっている。
背中がやっぱりどことなくさびしそうだ。
クボセンセイが来てるドアの前のエサ皿はやっぱり空っぽだった。また、下のつーとんを見ると、今度はこっちを見ていて、
目で、ねー、と言った。
エサを皿に入れて、上にかざし、手招きして引っ込む。すぐに、つーとんと、まだらしまは親子で連れ立って上がって来た。
そのまま、つーとんはエサに関心ないふりをして、向こう向きに寝転がる。子供のまだらしまは、ちょっと、迷った後すぐにエサへ行って食べた。
食べ終わったまだらしまは、つーとんのところへ戻ってすりすりしている。
つーとんはこっちを見ているが、エサには行かない。
しばらくたって、じゃれ飽きたまだらしまが階段を下りてった後、やっとつーとんはエサに向かった。
子供に親の威厳を示したかったのだろう。
この前、くろとらと遭遇した時、自転車にかけたシーツの陰に急いで隠れて、しっぽを残したままじっとしていたのを、くろとらが
少しあきれてながめていた事はまだらには内緒にしといてやろう。