7/7ののらねこ 文は田島薫
今朝はクボセンセイが休むと言う電話が入り、小雨の中私が早番で出勤。事務所への階段を上ろうとして、ふと向こうを見ると、傘をさし甚平を着た人物の
足元で見慣れたねこがすりすりして甘えている。つーとんだった。
お、つーとんなにやっとんだ、とじっとのぞきこむまねをすると、向こうも気づき、
目があうと、少し気まずそうに甚平の陰に隠れた。
つーとんはおいしいエサやりレディの他にもごちそうおじさんといったクライアント
も持っていたようだ。
まだらといっしょにうちの事務所に遊びに来ても、エサを食べるのはまだらだけで、つーとんは食べないので、エサやりレディのせいだろうと思っていながらも、
ひょっとして体調がわるいのかと、訴える目に負けて、まだらの見てない時に
ないしょで彼だけにまたたびをちょこっと出してやったりしていたんだけど、
思ってたよりもつーとんはテクニシャンのようだ。
さて、そんなことを考えながら上がると、ボール箱にまだらがいた。朝一の事務所のドアを開けると、今月からうちのスペースに越して来たUさんは
すでに仕事中だった。
掃除の必要もあり冷房を入れていたUさんも了解の上で窓とドアを大きく開け、
エサの用意をしていると、まだらがドアの中に入って来て、はやくしてくれ、と
にゃーにゃーさいそくした。
テクニシャンでない若いまだらは本気のはらぺこだったようだ。
Uさんが今朝ほんとの一番に出勤した時、つーとんと、まだらはふたりでいつものボール箱にすし詰めになっていて、彼を見て逃げたんだけど、今回は2メートルほど
だけだった、とUさんは少しうれしそうに言った。