12/22ののらねこ 文は田島薫
きょうもいい天気、遅番でいつものように池袋セゾンブックセンターで雑誌の立ち読みを済ませ出勤すると、ドア前のエサ場にいたくろとらが振り向き、
ととと、とベランダの奥へ逃げていって仮設住宅(大家が自宅を建て替える時に
仮住まいしていた)の向こうへ隠れた。
で、そのまま隠れているので、ここできょうの話はおしまい。
…ちょっと短すぎるみたいなので、先週のつまらない話をひとつ。週末だったか、晴れてけっこうあったかい日に、事務所の東側のガラス戸を開けて
おいてると、めずらしくブラウンが真ん前のひだまりにやって来た。
最初はだれもいないと思っていたのか、私の顔を見ると、少し慌てて逃げようと
数歩後ずさりし、いつでもさっと逃げられる体勢をとろうとしていたので、おいおい
ブラウンひさしぶりだな、エサは食べたのかい、などと、親し気に話しかけていると、
少し安心したように、その場にゆっくりうつぶせた。
話しかけながらじっと顔を見てると、向こうもじっとこっちを見ている。こんなにゆっくりブラウンの顔を見たことがなかったんだけど、よく観察すると、
彼は目と鼻と口が中央に寄っていて丸顔だったことがわかった。それに、口のまわり
の白とそれを囲む薄焦げ茶のグラデーションと鼻と口元のピンク色、それらと、
めりはりの利いたヒゲの細い黒線とのマッチングが絶妙で高級な美術品のようだ。
のらねこってたいていいい顔してるのだ、やっぱりラクしすぎてると、ねこも人間も顔が崩れていくもんなんだから気をつけよう。(はい)