12/8ののらねこ 文は田島薫
気持ちよく晴れた朝だ。先週出張でクボセンセーに変わってもらったのできょうは早番で出た。
お客さんの姿はなく、朝1のシャンさんもエサを出さず皿は空だった。
いつ来るかわかんないので、私がエサと水を出した。
ねこさんは来ず、昼ごろ常連のカラスさんがいつものようにハトの鳴きまねをしながらエサを食べてる気配が閉めた窓の外でしていた。
昼食後ドアの前で一服しているシャンさんにきょうはねこ来ないでしょ?と言うと、そこにいるよ、と言って屋上へ行く外階段の方に顔を振った。
階段の後ろの2〜3日前に降った雨で湿っている木の板の上にまだらが座っていた。
湿ってて気持ち悪いだろうと思うんだけど、それでも、コンクリ直とくらべたら
あったかなのかも知れなかった。
おう、なんだいたのか、って話しかけたけど、そんなに親しい関係じゃないよ、
といった顔で少し向こうの方へ後ずさりして行ってじっとしていた。
前にクボセンセーがおいた水道メーターの上の箱は最近は全然人気がなく入ってるのを見たことがないんだけど、考えてみたら、冷たい鉄製の蓋の上じゃいくら箱が
あってもあったかくはないのだろう。
その箱をさっきの木の板の上にのせてまだらの方を見たらまだらもこっちを見ていた。
だまってひっこんで、部屋の中へ入りガラス戸からのぞいて見ると、さっそく箱の中に座ってじっとしている小太りのまだらの後ろ姿が見えた。