●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回は、もどきさん、歌謡曲楽しみました。
歌謡曲でタイムスリップ
先日、友人に誘われて『昭和歌謡コンサート』へ行った。
洋楽の好きな昔の私なら行かなかったかもしれないが、歌唱力のあるクラ
シック肌の出演者のメンバーと選曲に心が動いた。
「学生時代」「川の流れのように」「知床旅情」「見上げてごらん夜の星
を」など
必ずどこかで歌われていて、聞き覚えがある昭和の名曲ばかり。
歌謡曲にはあまり興味のなかった私でさえも、知らず知らず頭に残り、身
についている懐かしの曲だった。
ステージの後ろのスクリーンに歌詞が映し出されるので、歌の理解が深く
なる。改めて流行歌の歌詞は象徴的で深く、洗練されている、と思った。
どの曲もどこかで聞いたことがあり、知らないものはない。
『歌は世につれ、世は歌につれ』という言葉があるが、流行歌というもの
は同じ時代を生きていれば、必ずどこかで出会っていて、驚くほど記憶に
深く刻まれているものなのだ。
聴いているうちに、その歌が流行した時代が鮮明によみがえり、そのとき
の自分の在りようさえも思い出されるのだった。
ちょっとした歌でなぞる自分史のよう。
つくづく自分は昭和を生きたのだと思った。
懐かしさもさることながら、自分はなんと長く生きたものだろう。