●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回は、もどきさん、英国と日本のそれを比べたようです。
国葬を考える
何気なくテレビをつけると、19日のロンドンのウェストミンスター寺院
で執り行われたエリザベス女王の国葬が延々と報じられていた。
私はその筋金入りの君主国家の威厳と荘厳かつ華やかな葬儀のようすに思
わず目が離せなくなった。
きっとこの日のために、周到なそして壮大な準備がなされていたのだろう。
寺院の天井から俯瞰するように写すテレビカメラの配置や色鮮やかな服の
兵士の配列、参列者の黒い喪服、讃美歌の演奏と相まって厳粛さが滲み出
ていた。
バッキンガム宮殿へ棺が移動するときにも、兵士の一糸乱れぬ動きや沿道
では多くの一般庶民が見送っていた。
いまどきこんな葬儀があったのだと、まるで美しい絵本をめくっているよ
うな感覚になった。改めてエリザベス女王の人気と伝統ある君主国家の威
厳を見せつけられた思いだ。
それにしても・・・
私は夢から醒めたように、今問題の安倍元首相の「国葬」について考える。
同じ国葬でも国の王室と政治的功労者とは違いがあるだろうが、まったく
受け入れる状況は異なり、日々、安倍氏の国葬反対者がふえている始末だ。
葬儀とは個人を偲び、生前の功績を称え、安らかにあの世へ送り出す儀式
である。
こんなまるで国を分断するような国葬を日本はやる価値があるのだろうか。