●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回は、もどきさん、ちょっと批判的気分のようです。



プロ意識


今、私は緊急に高齢者施設に入った義姉に代わり、住んでいた賃貸マンショ

ンを解約するべく、片付けや準備に奔走している。

何事も代理人なので事は面倒なのである。

まずマンション管理事務所に行き、解約手続きにはどんな書類が必要かを聞

いた。40代らしい女性事務員が、テキパキとそして懇切丁寧に教えてくれ、

とても感じが良かった。

そして別の日、部屋の片付けも済み、書類を揃えて再び管理事務所を訪れた。

今度は以前の事務員とは別人で50代ぐらいの女性だった。

どうやらここはパートタイマー制で交代勤務らしい。

今度の女性はなんだか説明の仕方が要領を得ない。そして仕事ものろく声が

小さい。

ちょっと私はイライラした。

そして、ようやく書類の点検が無事終わり、お礼を言って帰ろうとすると、

その女性事務員は急に親しそうに「お宅のお姉さんに一度だけお会いしまし

たけど、ずいぶん背の高いかたなのねえ」といって見上げる振りをして話し

かけてきた。

なんだか急にため口になって、うわさ話の好きなおばちゃん顔になっている。

この人はこんな話なら口が滑らかになるのだろうか。

私には何か違和感があった。

たかが管理人、されど管理人。

事務能力もさることながら応対にも以前の管理人のように、何事も仕事と名

がつけばプロ意識をもって応対してほしいものだ。


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