●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、ワクチン予約にヘトヘトだったようです。



ワクチン予約争奪戦


5月に入って高齢者の関心事はひとつ。”ワクチン接種”だった。

知人との会話はまず、「ワクチン予約できた?」が合言葉。

私の住む横浜市は比較的早く接種券は送られてきたけど、予約で躓いた。

予約日1日目、電話もネットもつながらない。2日目は回線パンク。3回目、ネット

予約は午前9時の開始直後に終了。電話予約も何度もかけたが通じることもなく、

NTTの回線満杯の音声だけ。

面倒くさくなって、もうこうなったら、”鳴くまで待とう時鳥”の心境だ。

そうはいっても、知り合い、友人らの「1日電話にかじりついてようやくとれた」

「子供、孫まで総動員して、やっととれた」などの情報に心は乱れ、泰然自若とはい

かず、羨望と敗北感さえ感じるのだった。

そのうちワクチンは増えるだろうからと自らを慰め、なんとかなると気を取り直すの

だが、やはり自ら動かないことには始まらない。

そこで、私は集団接種を諦め、近くの開業医による接種に的を絞り、情報を集めた。

これは得策だった。近いということは、こまめに立ち寄って予約日の確認や情報が得

られやすい。

これが功を奏して、19日に近所である地の利を活かして、耳鼻科医院で私はようや

く予約することができた。

だが、私は言いたい!

このたびのワクチン争奪戦はなんとも釈然としないのだ。

そもそも絶対数が少ないものを、競争原理で早い者勝ちで奪い合うというのは年老い

た者には酷ではないか。

平等の観点からこの方法を採用したようだが、ネット環境のある人や自分以外の家族

や協力者を得られる者に有利に働くのであれば、果たして平等といえるだろうか。

日本の危機管理能力のなさや、無計画の人気取り政策に走る政府に絶望したのだった。


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