シリーズ 一人暮らしになった(8)
孤食の演出
(ああ、また食事の時間がきちゃった…面倒くさいな…でもやっぱりお腹は空い
ているし…さて、何を食べよう…あれとあれが残っているし…ならばあともう一
品にあれを作れば栄養バランスは良いかも…)
こんな無精な考えを巡らす今日この頃。
見た目や盛り付けよりも、手間を省いて栄養だけの実用一点張り。
本当に一人飯はつまらない。
以前、私は料理をするのは嫌いじゃなかった。
台所に立てば張り切っちゃうタイプだ。
料理ってある種の作品なのだから評価してくれる人がいてこそ、頑張れる。
さらにいえば、食事は人生の一大楽しみであり、命を支えるもの、やりがいがあ
る仕事である。
それが今、一人で作って一人で食べる。これほど寂しいことはない。
友人の未亡人が食事会、食事会って騒ぐ気持ちがようやくわかった。
だが、今はコロナで自粛生活だ。誰かを誘うわけにもいかないので我慢するしか
ない。
一人飯菜の主役はアサリ汁
そんなこんなの日々、ふと、以前ある人が助言してくれたのを思い出した。
「夕食にお酒を一杯添えなさい」。
そのときは、お酒の弱い私はあまり気乗りしなかったのだが、今、試してみる気
になった。
粗末なおかずのそばに、結婚式の引き出物でもらった豪華なワイングラスにこれ
また極上の赤ワインを注ぎ、一杯添えるのである。
一点豪華! この演出だけで食卓はホテルでの食事に早変わり!
少しばかり孤食のみじめ感が吹き飛んだ。
いい夜は鰻飯と赤ワイン |