4/27のねこさん       文は田島薫

ニケの虫あそび


ねこさんたちの中で一番人なつっこいのはニケで、私や家人を見たらすぐに

寄って来てかまってくれ、って言うし、子ども以外なら他のやさしそうなだ

れかを見つけると、すぐに近寄って行くんだけど、だれもいない時は庭でひ

とり物思いに耽ってるような感じが多いようで、きのうも私がベランダから

庭のそんなニケをながめてたら、突然目のちょっと先の何かを見つめながら

うつぶせの姿勢で尻を振り出してから、ダッシュした。どうも、つかまえよ

うとした何かに逃げられたようで、前足がぺたんと草の地面をたたいてから、

なんとなく残念そうにしたかと思うと、もう元の物思いの形に。


いやいや、だれもいないね〜、退屈だね〜、みんなどこへ行っちゃったんだ

ろ〜ね〜、こ〜やって、ひとりでじっとしてっと、ぼくはひとりぼっちなん

だな〜、ってしみじみ感じるね〜、友だちと言える相手もいないし、もし、

友だちだ、って思ってるんなら、ぼくのことも誘っていっしょに遊びに行こ

〜ぜ〜、って言ってもらえるはずなのに、だれもそんなこと言うやつはいな

いまんまぼくひとり置き去りなんだかんな〜、も〜、今やぼくのまわりで動

くもんはだれもいないんだな、つってると、お、動くもんが見えたね〜、お

〜、遊ぶか〜、くんにゃろ、あ、やっぱ、逃げちゃったか〜、どいつもこい

つも逃げやがって、さて、ぼくはこれからど〜すればい〜んだ。


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