映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史から、ノミネート作品それぞれについての感想。
第第43回日本アカデミー賞
先日、日本アカデミー賞の優秀賞の発表があった。毎年なんでこの作品?と、選
考に疑問も残るが、最近はそれも含めて楽しむことにしている。
今年の優秀作品賞は、『キングダム』、『新聞記者』、『翔んで埼玉』、『閉鎖
病棟―それぞれの朝』、『蜜蜂と遠雷』の5本。なんと私は全部観ていた。閉鎖
病棟(帚木蓬生箸)は、20年以上前に関わった映画の原作だったため、リメイク版
は見逃すまいと思っていた。悪くはないものの、原作が書かれた25年前とは医療
事情が随分変わっており、かなり無理があったように思う。
他の作品は、知り合いや大学の同窓生がスタッフをやっていたりしているので、
応援の意味を込めて観に行った。唯一、話題性だけで観たのが『翔んで埼玉』だ。
埼玉をおちょくり倒す内容で、とにかく笑える。千葉との有名人対決など、こん
な有名人の名前やビジュアルを出していいのか!とビックリするほどのラインナ
ップだ。バカバカしい、お間抜け、悪ノリ、くだらない、おふざけ等々、これら
の言葉があろうことか賛辞になるような映画だった。ストレス解消にもってこい
かもしれない…なんて軽く思っていたら、最多12部門ノミネートだとか。
最優秀賞の行方はと言うと、『キングダム』が強そうだと思ったら、9部門のノ
ミネートだった。劇場がガラガラで心配した『閉鎖病棟』が、11部門。わからな
いものだ。
無理かもしれないと思いつつも、『新聞記者』や『蜜蜂と遠雷』にも取ってほし
い。『新聞記者』の藤井道人監督は、若手ながら演出の手腕が注目されており、
脚本もいい。『蜜蜂と遠雷』は、音楽コンクールに挑む4人のピアニストの話で、
音の視覚化や楽器の奏でる音と自然の音の融合に心奪われた。
最終投票前に、もう一度各作品を観てみよう。日本アカデミー賞の授賞式は、3
月6日に行われる。