映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、映画にまつわる邦題について思いを巡らしました。
映画祭とフィルムフェスティバル
日本語の「映画祭」というのは、とても良いネーミングだとつくづく思う。
最近は(昔からとも言うが)何でもカタカナ表記になり、”て・に・を・は”以外
は全て外来語かと思うことが多い。映画のタイトルなんて、どうして邦題を付け
ないのか、理解に苦しむものもある。邦題を工夫して付けるのも面白い作業なの
に…。『リバー・ランズ・スルー・イット』とか『ミッション:インポッシブル/
ローグ・ネイション』なんてのもあり、観客はタイトルの意味をわかっているの
かなぁ。
日本の映画祭の名前もたまに「〇〇フィルムフェスティバル」となっているもの
がある。11文字だ。「映画祭」にすれば3文字ですむのに。面白いのは、海外の
映画祭の日本語表記は、大体「フィルムフェスティバル」ではなく「映画祭」。
カンヌ、ベルリン、ベニス…み〜んな「映画祭」。もしサンセバスチャン・イン
ターナショナル・フィルムフェスティバルなんて表記にしたら、30文字にもなっ
てしまうではないか。パッと見てわかる漢字表記は便利だなぁ。
そして更にもうひとつ「映画祭」という名称の大切さを思わされていることがあ
る。第1回目に少しだけお手伝いさせていただいたSkipシティ国際Dシネマ映画
祭がスタートして以来、ずっと映画がフィルムからデジタルデータに移行すると
いうことについて考えさせられてきた。1コマ4つのパーフォレーション(フィル
ムを引っ掛けて送るための穴)やサウンドトラックがあるあのフィルムが使われな
くなっていく…。悲しいけどデジタル化は絶対に止まらないとわかっていた。
デジタルデータを流すものを「フィルムフェスティバル」と呼び続けることには
違和感を感じるが、「映画祭」ならデジタル化の影響を受けない。デジタルだろ
うがフイルムだろうが、映された画のお祭りなのだから。国際的には漢字は通用
しないけど、フィルムフェスティバルをせめてシネマフェスティバルに変えると
か、どうだろう…いやいやフィルムに対する愛着もあるから、やっぱり「フィル
ムフェスティバル」がいいな。