●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
AIがもどきさんの暮らしの近くにも出て来てました。


習うより慣れよ その2


久し振りに横浜駅へ行き、地下にあるスーパーへ寄って驚いた。

いつのまにかセミセルフレジになっていた。

ニュースでAIロボットだのキャッシュレスだのと騒がれているが、もうすでにこんな身

近なところでその波が押し寄せていたのだ。

まず、商品のバーコードを読み取る作業はこれまで通り店員がやり、代金は前に進んで

精算機で行う。その操作は画面のタッチパネルで現金かクレジットカードかを選択し、

現金やカードを挿入する。レシートや釣銭が終わると自動音声で「ありがとうございま

した」とお礼の声がでる。

初めての体験だったので、クレジットやポイントカードの入れ場所を探し、ちょっとモ

タモタした。こんなとき自分が流れのブレーキになっていないか、後ろのお客に気を遣

ってしまう。

昔、アナログ人間、デジタル人間、なんて言葉があったけど、もうそんなのは死語。い

まならIT人間というところか。

とにかく無人化に慣れなければ世の中渡っていけないのだと痛感した。

ま、この程度ならば人々はすぐ慣れ、特にスーパーなら効率的で時短につながり、便利

なことではある。

だけど、服や趣味の品物を買うときは味気ないのではなかろうか。 

店員との会話に情報がいっぱいあり、やり取りの中で新しい発見もあって、そうしたこ

とが買い物の愉しみ醍醐味ともいえるのだから。

そういえば、テレビで、眉間にしわ寄せて「人手不足でねえ」といっていた商店のおじ

さんの顔を思い出す。

日本は急速な人口減だ。でもホリエモンが言っていた。

もう、人間は働なくてもいい、って。

つまり今人間がやっている些末なことはすべてAIロボットがやってくれるから人手はい

らなくなる、ということか。

働かない時代って、人はどんな幸せをつかむのだろうか。


戻る