映画だ〜い好き        文は福原まゆみ


尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史が楽しんだアカデミー賞の思い出





第91回米アカデミー賞


中学生の昔、華やかな外国文化であるアカデミー賞に憧れて、当時の映画雑誌『ロード

ショー』や『スクリーン』の切り抜きをスクラップブックに貼りつけていた。20才の

夏休みにはハリウッドに旅行し、授賞式の会場だったチャイニーズ・シアターに行った

り、有名スターの手形に手を当てて写真を撮ったりしたものだ。最近はネットのおかげ

でいろんな情報が入り、アカデミー賞は俳優組合の人気投票のようなものだとわかって

きた。な〜んだ。もっと権威ある正統的な賞レースかと思っていたのに…。

それでも一流のエンターテイメントではある。本番で何が起こるかわからないし、受賞

者のスピーチには感動するものが多い。反対に大いに笑わせてくれるのがホストのトー

クだ。何年か前のエレン・デジェネレスには随分笑った。客席のクリント・イーストウ

ッドに一緒に写真を撮らせてほしいと願い、近くにいたスピルバーグを見つけ撮ってく

れと頼む。スピルバーグほどの巨匠に写真を撮ってくれとは!そこでまず爆笑。カメラ

を構えるスピルバーグに、「二人ともちゃんとフレームに入れてね」とさり気なく失礼

極まりない一言。相手はプロ中のプロだぞ…ってことで、またまた爆笑。とどめの一言

は、撮ってもらった写真をチェックして「もうちょっと両側を均等にして」。恐るべし

エレン・デジェネレス。もちろん会場は爆笑の渦に巻きこまれた。

メリル・ストリープが『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で3度目のオスカー

をとった時のスピーチも面白かった。この時、ノミネーションは何と17回目。壇上に

上がったメリル・ストリープは「自分の名前が呼ばれた時、アメリカ中の半分の人たち

が、オー・ノー!また〜?彼女?と言っているのが聞こえる様でした。でも気にしない

わ」と言って会場を沸かせていた。

今年はどんな授賞式になるか。個人的に注目しているのはアルフォンソ・キュアロン監

督の『ROMA』だ。


『ROMA』
2018年/135分/モノクロ


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