映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、これから見る映画も想像で楽しんでるようです。
まだ見ぬ『アイリッシュマン』
師走の忙しさは何をどうしたところで変わらないけれど、限られた時間の中でマーティ
ン・スコセッシ監督の新作『アイリッシュマン』だけは何としても観に行こうと思って
いる。
ロバート・デニーロとアル・パチーノの共演でマフィアを扱った作品。と言うことは、
スコセッシ自身も含めてそれまでの映画人生の締めくくりを意識しているのだろうか。
インタビューなどでデニーロとパチーノの晴れ晴れした表情を見るとそう思えてならな
かった。ちょっと淋しい予感がすると同時に楽しみでもある。それはきっとイーストウ
ッドの『運び屋』にもレッドフォードの『さらば愛しきアウトロー』にも感じた、幕引
きの淋しさと達成感(私のじゃないけれど)の混在が思いのほか心地よかったからだろう。
きっとスコセッシも力を入れすぎず、仲間たちと作ってきたマフィア映画の集大成を見
せてくれるのではないか。
それにしても、マフィアとくれば、シチリア出身のイタリアンのはず。それがアイリッ
シュマンとはこれいかに。う〜ん、それだけでも面白そうな匂いがする。アイリッシュ
マンを演じるのは一体誰だろう。デニーロにしてもパチーノにしてもこってりイタリア
ンだ。ちょっと調べればわかるけど、そこは映画を観てのお楽しみ。まず何の前知識も
なしに楽しんでこよう。
最近長尺の映画がやたら多いが、本作の上映時間も二時間半に及ぶ。一体何が仕掛けら
れているのだろうか。ひょっとしたら集大成どころか、未だかつて観たことのない新し
いおじいちゃん映画が出来上がっているのかもしれない。スコセッシ77才、デニーロ76
才、パチーノ79才。この世代が現役で映画を撮り続けているのが嬉しくて仕方ない。
『アイリッシュマン』
監督:マーティン・スコセッシ
脚本 : スティーヴン・ザイリアン
撮影 : ロドリゴ・プリエト
音楽 : ロビー・ロバートソン
出演 : ロバート・デニーロ/アル・パチーノ/ジョー・ペシ/ハーヴェイ・カイテル/アンナ・パキン
2019年/アメリカ/210分/カラー宮本信子