漢字の凄さ その2
最近の傾向として漢字は敬遠され、カタカナ・ひらがな・省略当用漢字表記が多くなっ
たが、前回のココ通に俳句の世界はなるべく漢字で書くのだと書いた。
いつもならひらがなで書く物事・現象も漢字を書くと、さらに意味が広がり謎も深まる
ことがある。
例えば、こけし。
語源は“子消し”から来るそうな。なんだかドキッとするではないか。
昔、東北地方で貧しい子沢山の家にさらに子が生まれると、とても養っていけないとな
ると身ごもった時点で堕胎したそうで、それを“子消し”と呼び、供養のため、あの人
形のこけしがうまれたのだという。
そして、“魂消る”
これは見ての通り魂が消えるほどビックリすることだが、この漢字を見てしまうとあま
りの大袈裟な表現に、気軽に「たまげた〜」なんていえなくなってしまいそう。
それから、“ゆだん”
油を断つと書いて“油断”。
以前、堺屋太一が『油断』と言う石油が輸入されなくなったらどうなるかという小説を
書いたほど、現代社会なら石油は産業に切っても切れないし、国力にも影響することな
ので理解できる。
だが、昔は油がないとなぜいけないのか、よくわからない。灯りとしての役割だろうか。
そして“醍醐味”。
それは一体どんな味?
たまたま、最近読んだ『香りの歳時記』(諸江辰男著)に載っていた。
“醍醐”とは昔中国で作られていた乳製品で、簡単にいえば、牛乳を発酵と煮詰めるこ
とを繰り返し最後にできたものらしい。
どうやら醍醐はヨーグルトともチーズともバターとも違う、今は無き味だ。
酪農は7世紀ごろ中国から伝わったが、日本も中国も早々と乳を飲む習慣は廃れ、製品
は消滅した。
だが、醍醐味という言葉は立派に生きている。
モノの神髄を表す言葉としてあこがれの味である。 |