映画だ〜い好き        文は福原まゆみ


尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、過酷な仕事を楽しくする技を知ってるようです。




映画で食べていくこと


よく若い映画人から「お仕事お手伝いします」とか「自分、来月空いています」と

言われる。みんな好きな映画の仕事で食べていきたいけど、肝心の仕事がないとい

うのだ。Facebookでは「バイトしなければ食べていけないけど、本業と副業が逆

転してしまう。一体どうすればいいのでしょう?」と、愚痴の様な投稿も見かける。

そうでしょうそうでしょう。そんなものです。私もそうだし…。

ところがどうもそうは見えないらしい。いつも仕事を抱えてドタバタしているから、

順風満帆な映画人生活を送っているように見えるらしいのだ。


何を仰る! 冗談ではない! 仕事があってもちゃんとギャラが支払われるとは限らない

し、何年かけてもポシャる映画だってあるのだぞ。


とにかくこの手の相談は後を絶たない。紹介できる仕事がないわけではないけれど、

あったとしてもいろいろと条件が付く。住まいが都心であること、性別指定、業界

経験者などなど。英語スキルが求められると一気にハードルが上がる。それでも仕

事はあるのだ。


ただ、面白いもので、仕事を紹介したいのは、仕事が無いと言ってただ愚痴る人で

はない。「仕事無いけど、どうすれば仕事を得られるだろうか」とか「仕事がない

なら作るまでだ」という発想を持てる人なら安心して紹介できる。そんな人はそも

そも相談してこないか(笑)。愚痴るだけの人なら紹介してもその仕事の事で愚痴る

だろう。


映画の仕事なんて愚痴る要素など山ほどある。某映画祭の審査員担当者なんて、昼

夜問わず1時間ごとにトラブルに襲われ、それが長〜い期間続く。でもその人は何

とかして仕事を終えると、トラブルをネタにしていつも豪快に笑い飛ばしていた。

働く環境としてはもちろん改善する必要があるけど、映画の世界ではこの豪快さが

強みのような気がしてならない。愚痴るより解決を目指して楽しむ! トラブルが大

きければ大きいほど、映画のネタにだってなるではないか。それで映画を作ってい

るのがテリー・ギリアムだ。

よっしゃ、ガンバレ若者、ガンバレわたし。男/宮本信子


戻る