1/7のねこさん       文は田島薫

待ってたニケとむん


何泊かで出かける時は近所の奥さんにエサやりを頼んで行くことにしたんだけど、

元旦の家人との東京行きは1泊だったんで、容器にたっぷり入れ頼まず出かけた。

で、翌日陽が落ちた頃ふたりで帰ってきたら、つけておいた玄関の中の灯りを背

にした黒いシルエットがふたつ小走りに寄って来てから、ひとつの方はそばまで

来たニケで、もうひとつの方はまた玄関に引き返したむんだった。

玄関前のごはん容器はすっからかんで、すでにむんは自転車の下からそれの前に

座って待っている。ふたりにごはんを出すとせっせと食い始めた。


いやいや、まいったね〜、腹へちゃってんのに、ごはんがなにもない、ここの人

たち出かけたまんま帰って来ない、ってことんなると、ぼくらはど〜なっちゃう

んだ〜、えっ?また、あっちのおばさんとこへ行くかな〜、でも、あっちも仲間

がいっぱいだから、食うのが大変だよね〜、競争で。いや、だいじゃぶ、あの人

たちはきっと帰って来る、帰って来てぼくたちにごはんを出してくれる、そ〜に

決まってる、多分だいじゃぶ、ん〜ん、それにしても遅いね〜、ま〜、ど〜して

もきょうは帰って来れない、ってことだったら、明日は帰って来る、明日がだめ

なら、明後日か〜、そのうち、ぼくらは死んじゃうか〜、いやいや、まてよ〜、

つってると、ほ〜ら、帰って来た、ごはんだごはんだ、ごはんが帰ってきた〜


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