9/10のねこさん 文は田島薫
むんが来なくなってパネが来た
先々週の終わりか先週の始めの頃の夜中外で、ねこさんの叫び声が聴こえたんで、
すぐ下へ降り玄関のドア開けると、黒ぽいねこさんのかげが道路の方へ小走りし
て行くのが見え、少し間をおいて次は足元から茶色のねこさんが逃げてった。
どうやら、最初に逃げて行ったのはむんらしく、そのことがあってからむんは姿
を見せなくなった。どうもその前にも、今まで上がったことのないベランダの上
の方まで外階段上がって来てたことがあったようだし、私も茶色ねこさんがうろ
ついてるのを見かけたことがあった。で、先週は去年の初夏の頃来なくなったパ
ネが毎日顔を出すようになった。、最初、われわれはそれに気づかず、われわわ
れの顔をじっと見てなにか訴えてるねこさんの目を見てから、後で、あ、パネだ、
って思い出したのだ。
いやいや、こっちでごはんもらってた兄弟があっちのおばさんとこでごはん食っ
てたぼくに、ごはん場所とりかえっこしよー、って言うんで、あんまし、うんま
くない方のごはん食うのやだったんだけど、ま、少し苦労すんのも大事かもな、
ってことで来てみたんだよな。しっかし、なんだかこっちのおばんたち、ぼくの
ことおぼえてないのかな〜、お〜い、ぼくだよぼく、前によく来てやったじゃね
〜の、木にのぼってみたりしてサービスしてやったじゃん。あのか〜い〜、ぼく
だ、つ〜の、ほら、ぼくの目よく見て思い出してよね〜、ほら、じ〜、っと。