●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、一瞬空を飛んだようでとんだことだったようです。


転ぶ


お盆休みに孫が泊まりにきたときのこと。

やたらと大きな荷物をもってきて、それをドサリとリビングのテーブルの横に置いた。

ヤーヤーと挨拶がすんで、私が飲み物を用意しようと足を出したとき、その荷物に足

をとられた。

あ、いけない、ころぶ!

足がもつれて前へでない!

このままでは顔から着地だ!

これだけは絶対避けなければ!“顔が命”。

手を出せ! 

左手の肘なら間に合いそう!

ええーい、後は野となれ山となれ!

おー、体が浮く

身を投げ出すって意外と快感・・・

ドドっと音を立てて胸で着地。

まるで、高校球児がホームベースに滑り込むように。

とはいかなかったが、どうやら無事だった。

すぐ、笑って起き上がり、その日は何事もなく過ぎた。

だが甘かった!

老女の私が無事なはずがない。2日後、胸が痛みだしたのだ。

打ち身? それとも骨折? 間の悪いことに整形外科はどこもお盆休みで長期間休診

である。

もんもんと過ごし、ようやく休み明け、すぐ受診。

なんとか骨折していないということで安堵した。

いまだ胸は痛むが、なんとか日薬で治るだろうけど、まったく油断だった。

災難は心の緩み。心の緩みは暑さのせい?


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