映画だ〜い好き        文は福原まゆみ


尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
チェコの人形アニメ作家が好きになってどんどんとのよう




チェコ大好き


チェコ大使館にお誘いいただき、今週人形劇「三銃士」を観に行くことになった。

アレクサンドル・デュマの「三銃士」を含む「ダルタニャン物語」が大好きで、本

もアニメも実写版の映画もNHKの人形劇も、「三銃士」と名の付くものは片っ端

からチェックしている。新たな人形劇、楽しみだなぁ。

チェコと言えば、カレル・チャペックを思い出す人が多いだろうが、私にとっては

アニメーションの世界的巨匠イジ―・トルンカを生んだ国。トルンカのアニメは、

詩的でありその世界にヒューッと吸い込まれる。本当に素晴らしい。

去年、これまたチェコ大使館からお誘いいただき、映画『皇帝のパン屋・パン屋の

皇帝』を観てきた。チェコでは誰もが知っている歴史コメディとのこと。パン屋の

マチェイと、錬金術などに強い関心を持っていた神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世

(ヤン・ヴェリフ/一人二役)が主人公。伝説や神話に登場する巨大な泥人形ゴー

レムを何としても見つけたいルドルフ2世。一方でパン屋のマチェイは皇帝に献上

するパンを貧民に配ってしまったことでプラハ城の地下牢に捕えられてしまう。そ

っくりなふたりに待ち受ける運命とはこれいかに…。

ルドルフ2世、パン屋のマチェイ、そしてユニークな登場人物たちが巻き起こすド

タバタコメディだった(ごめんなさい! 正直ばかばかしいくらいの軽いものでした)。

でもそんなドタバタに、溜まったストレスと疲れを一気に癒された。ルドルフ2世

は、実際国民に愛されていたというが、映画を観て納得。でっぷり太った、愛嬌た

っぷりの王様だった。

本作を何としても観たいと思ったのには理由がある。大好きなイジー・トルンカ

(上記)が衣装デザインを担当していたから。これが観られたのはとても貴重な宝の

体験となった。チェコ大使館さまさまだ。


『皇帝のパン屋・パン屋の皇帝』
1951年、チェコスロバキア 144分(前編80分+後編64分)
監督:マルチン・フリッチ
脚本:マルチン・フリッチ、ヤン・ヴェリフ、イジー・ブルデチュカ
撮影:ヤン・スタリフ音楽 ユリウス・カラシュ
出演:ヤン・ヴェリフ、マリエ・ヴァーショヴァー、ナタシャ・ゴロヴァー 莉鳴
 


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