●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんの悲喜こもごも買い物シリーズの4。


シリーズ こんなもの買った

メガネクリーナー


美人でおしゃれな私の友人は老眼になっても必要なときだけ老眼鏡をかけて、メ

ガネ顔になることに抵抗していた。が、ついに日常生活に差し支えるようになり、

遠近両用メガネを常時かけるようになった。

その彼女が仕事がらみで仙台へ行くべく新幹線に乗った時のこと。

おしゃべり好きの彼女はボックス席で乗り合わせた同年配の女性とすぐ言葉を交

わした。

しばらくすると、その女性が遠慮がちにバッグから小さな布を差し出して言った。

「あの〜、良かったらこのメガネ拭きをお使いなりませんか」

余程彼女のメガネが汚れていたのだろう。見るに見かねたのだ。

わかる、わかる。

相対したとき、相手のメガネの汚れはいち早く目に留まり気になるもの。そして

掛けている本人は意外とその汚れには気がつかない。

メガネの汚れを指摘するのは勇気がいるが、でもなんだか気になって放っておけ

ない。微妙で落ち着かないこの感情。

私は経験上ある法則を見出した。

忙しい人ほどメガネの汚れに無頓着。

特に料理をする主婦は油跳ねや汁などでメガネが汚れやすい。

近眼でメガネを掛けている人の方がマメにメガネの手入れをする。

女より男の方がメガネに関しては潔癖症。

以上である。

私はいままでガラスクリーナーや食器洗剤でメガネのレンズを洗っていたが、彼

女の話を聞いて、メガネショップでメガネレンズクリーナーを買った。

高さ15センチぐらいのプラスチック容器に入ってトップが霧吹きになっている。

金700円也。

高いのか、安いのか・・・

これで見通しよく暮らせれば安いもの?


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