ミケが目をそらした
小雨が降るような降らないようなきのうの午後、家人と傘を持って2番目の最寄り駅の方へ
出かける途中の稲荷神社となりの家のせまい庭。ビニール傘が立った下の発泡の箱をのぞい
たら空っぽだったんで、いないか、って思って首をまわしたら、もっと手前の台の上の別の
ふせた発泡の箱の上に小さい方のミケがこっちの視線と同じ高さに寝そべってた。ねこさん、
なんだかそっぽ向いたままで、こっちがふたりで、よ、とか声かけてるのに、がんとしてこ
っちを向かない。ま、いっか、ってわれわれは立ち去り、道路からもう一度ねこさんを見て
みたんだけど、ねこさん、がんとして、こっち向かないさっきのまま。
いやいや、雨にぬれない箱ん中は助かるんだけど、ずーっとそこでじっとしてると、なんだ
か飽きちゃっていけないんだよね、だから、ちょっと雨が降ってない時はこーやって、こっ
ちの高いとこ来てまわりの景色をしみじみとながめてんだよね、って言ってと、いつのまに
かあの2人組が来てて、こっちを見ないで元の箱の方見てるね〜、そ〜か、ここにいること
にあたしゃ気がつかれてないんだね、そーかそーか、そんなら、めんどーがなくていーや、
じゃ、こっちも、あっちに気がついてないふりすればよけー問題ない、ってことになるね〜、
おしっ、あたいの方も、な〜んにもそっちに気がついてませんよー、ほら、目だってこっち
向いたままだし、そっちからこっち見えますか〜?お、行った行った、でも、まだ、あっち、
見ちゃうと、こっちのことわかっちゃうから、まだ見ないまだ見ない。 |