世間話シリーズ
踏まれる人
「あなたは花に例えるとどんな花?」
と、聞くとおばさんともなると
「そうね、ドクダミの花かな。あはは」
大抵こう答える。
“ドクダミ”という語感から可憐さよりもあくどさを連想して笑いのめす。
背の低いドクダミは強い草でどんなに踏まれても枯れることがない。その証拠に、
この季節、庭の草取りをちょっとさぼるとたちまち一面にはびこってしまう。
抜くと強い匂いを発し、煎じて飲めば利尿、整腸、解毒などの薬効がある。十薬と
いう別名があるくらいだ。
花は4弁の白い十字形で地味だが、華やかさとは無縁だけどしたたかに生きてきた
おばさんにこそふさわしい花なのかもしれない。
人の世、順風満帆なんてめったにない。人は踏まれ、踏まれて花が咲く。
昨今、災害など不運続きの日本人にとって“踏まれてもめげない”という言葉は応
援歌なのかもしれない。
だが、踏まれ続けている人々がいる。
沖縄は日本の戦後の後遺症を一手に引き受けて苦しんでいる。
最近の元米海兵隊員による女性死体遺棄事件はなんとも痛ましい。
またか、という思いと日本の基地の7割を引き受ける不公平感にやりきれない思い
が募る。
沖縄は先の大戦で本土の盾になって多数の死者を出し、戦後は島の大半を米軍基地
に接収され、今も嘉手納基地の辺野古移設でもめている。そして基地があるが故の
犯罪が後を絶たない。
踏まれて強くなれ、なんてとてもいえない。
踏まれっぱなしの沖縄の人なのだ。 |