5/23のねこさん       文は田島薫



やせねこがんばる


先週、晴れて暑い昼前ごろ家人と茨城の両親の墓参りに行った時、畑や雑草の生えた

掘跡に囲まれた地域墓地のわきの方からやせた黒とらのねこさんが歩いて来て、ちょ

っとよろけたりしてる。おい大丈夫か、弱って死にそ〜なのか、って心配しながら、

よ、って手あげたら、立ち止まってこっち見てるから、そばの他人の墓の前にあった

茶わんに水入れて飲ませてみっか、って茶わん見せてから洗ってるうちに、向こう向

いて掘跡にゆっくり下りて行くのが見えた。お〜い、って呼ぶ間もなくどんどん掘跡

を下りて行き、向こう側の麦畑の木のふもとまで上りきってからじっとしている。

あそこで死ぬつもりなのかな、などと思いながら、しばらくこっちの墓掃除なんかを

やってからまたそっちを見てみるとも〜ねこさんの姿はなかった。


いやいやぼくも年とっちゃって、足腰弱っちゃうといけないからこ〜やって毎朝運動

のため歩いてんだよな、おっとっと、なんだか歩きにくいとこなんだよな、え〜と、

ここからあっち渡って、ず〜と麦畑ん中歩いてへとへとんなるまで歩いて、腹ぺこに

してからお昼ごはんいただくんだよな、ん?あっちでだれかが呼んでるね〜、なんで

っか?なんか食いもんでもくれる、って言うのかな、だめだめ、ぼか〜運動中は食わ

ないことにしてるんだ、横っぱらが痛くなっちゃうからね、じゃ、そ〜うい〜ことで、

ぼくは行くからね、よいっしょよいっしょ、って、さて、ちょっとだけ休憩すっか。


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