シリーズ 街角感傷
横浜
横浜は私の縄張りといっていい。
結婚して横浜市に住んで以来、買い物、娯楽、カルチャー、乗り換えなど、とにかく横
浜駅をずいぶん利用してきた。
そしてなんといってもミニコミ誌のリポーターになってからは横浜駅周辺が仕事場なの
だった。
横浜駅はJR、地下鉄、そして私鉄3社が通っていて、一つの駅に乗り入れている鉄道会
社の数としては最多の駅だ。従って乗降客数も全国ランキング堂々の5位。
一昔前、広告媒体としてミニコミ誌が主流だった頃、横浜の広告代理店はこぞって横浜
駅から伸びる私鉄の相鉄線、京急線、東急線に記事型広告を載せるフリーペーパーをば
らまいた。
その広告の反響はどうかというと、各線によって異なり、その地域性、住民性、が大き
く関係した。それは街の成り立ちを見るとわかる。
相鉄線は昔、ジャリ鉄と呼ばれ、相模川の砂利を運んだ鉄道である。
それが今や団地・マンションが並ぶ浜っ子のベッドタウンだ。だが、沿線には所々田園・
丘陵地帯が連なり牧歌的な雰囲気も残っていて、そのまま住む人に影響し純朴な印象だ
った。勢い広告も記事も生活密着型になった。
東急線はコンツェルンが開発した私鉄で、渋沢栄一の提唱による田園都市などの高級住
宅街が計画的につくられ、日吉の慶応大学、元住吉の法政大学などがあり、ちょっとお
高いようなすました顔を持つ。フリーペーパーに対するノリも悪かった。
京急線には川崎大師の存在が欠かせない。参拝客の足として開業したからだ。町の雰囲
気は下町的で気っぷがいい。また沿線に京浜工業地帯を通り工場を持ち、景気も良かっ
た。もっともスポンサーもつきやすく、読者の反響も早かった。
以上は私鉄各線の大雑把な印象なのだけれど、地域とはとりまく環境や歴史に左右され、
その個性は自然発生的に育っていくのがわかって興味深い。
それは人にも当てはまることなのだろう。 |