4/20のねこさん       文は田島薫



ここいらのとら親分


先週はねこさん見なかったんで、2〜3週間前に家人と2軒めのマーケットへ食料

の買い出しに自転車で行った帰りの路地で遭ったねこさんのことで。

晴れた暖かい午後で、両側にはゆったりとした駐車スペースをとった新しいデザ

インのアパートや建て売りが並んでる路地は陽がいっぱいに当たってた。われわ

れの行く手にとらねこさんがどっかから現れて道をななめに横切って行くのが見

えたんで、よ、お〜い、って声かけたら、ちょっとふり返ったものの、すぐに前

を向くと同じスピードでわきのメキシコ風の白とオレンジのアーチ状の外壁のつ

いた棟続きアパートの中庭のようなスペースへ入って行って消えた。


いやいや、ここいらで一番強いおいらは、こ〜やって、ここいらの見回りしなく

ちゃいけないんだよな、へんなやつが入ってきてここいらのかわいこちゃんを好

きんなっちゃいけないんだよな、ここいらのかわいこちゃんはみんなおいらのも

んなんだかんな、こらっ、なめんなよ、ってだれに言ってるんだっけ、ほら、さ

っそく後ろから声がすんぞ、だれだ、ばきゃろー、なんだ、ただのにんげんか、

にんげんはい〜んだよな、好きんなってくれても、ごはんもくれっから、だけど

よ、ねこはだめなの、好きんなってごはんくれるどころか、かわいこちゃんと、

いっしょにこっちのごはんまでもってちゃったりするふて〜のがいっからな、ば

ーろー、ふざけんじゃねーぞ〜、おっと、だれに言ってんだっけ。


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