つましい女
私はつましい女である。(と思っている)
つましさとは性格もあるが、長年の積み重ねた習慣のなせる業である。
小さいとき、家の破産で貧乏に陥ったことで、つましい生活を余儀なくされた。
そのときの生活環境が私のつましさを育てたように思う。その証拠に二人の姉は少女時
代を裕福に育てられたせいかどこか贅沢さを身に着けている。
姉妹で行動するとそれがはっきりわかる。タクシー、高級レストラン、贅沢旅行などを
私だけがああ、もったいないと思ってしまうのだ。流行遅れの洋服をせっせとリフォー
ムして再び着ているのは洋裁技術のある私。
私はきっと、人生いつ何時不幸に見舞われるかわからない、備えあれば憂いなし、と考
えるタイプなのだろう。
ところが同時に面倒くさがり屋でもある。
好きなことには執着するが、気が乗らないとずぼらを決め込む。
今回の消費税値上げの対処がいい例だ。
もちろん手を打った。
まず冷蔵庫を買い替えて、さらにご多聞にもれず洗剤、調味料、ペーパー類などをつい
での時に買い始めたのだが、そのうち面倒くさがり屋の面が勝って細かいものは止めた。
計算したら小物は大した得にならないし、細かい買い物は面倒くさい。
先日、友人たちのおしゃべりで消費税値上げ前に何を買ったかで盛り上がった。
やはり高額な電化製品はダントツで、洗剤が2位だった。
「私はトイレットペーパーを買いだめしたけど、置き場所に困っちゃうのよ。だから早
く片付けようと多めに使うから却って無駄遣いよ」
と苦笑いをする人がいれば
「私は東急線の回数券を買っといたわ」
という知恵者もいた。
ところが、70代の一人がぼそりと言った。
「消費税3%値上げなんて、人生の大勢にそんなに影響するもんじゃないわよ。私はあ
と何年生きるかわからないんだもの。そんなことに神経つかうことよりも、今やりたい
ことをやりたいようにやった方が悔いが残らないと思う」
この一言が私には一番心に響いたのだった。 |