4/7のねこさん       文は田島薫

黄色いねこさんがいた


先週の晴れた朝、ゴミ置き場に行こうとゴミ袋持って家の前の道路歩いて行くと、左側の

なん軒かの奥の家へ続く生け垣に囲まれた小さな袋小路のつきあたりの前にあまり見かけ

ない黄色いねこさんが後ろ足を上へ伸ばして毛づくろいしていた。

私が立ち止まってそれをながめてると、動きをやめてこっちをじっと見てるもんで、手を

上げて合図してみたら、やっぱり固まったままこっちを見てるもんで、また、2〜3度手を

上げてやった。しばらくそのままだったけど、ねこさんやがて視線はずして元の作業に戻

ったもんで、私も立ち去った。ゴミ置いて戻って来たらもう、ねこさんの姿はなかった。


いやいや、この木がいっぱいの場所いいね〜気持ちい〜ね〜、気にいったね〜、静かだし、

も〜、ここでいちんち過ごしちゃってもい〜ね〜、のんびりこ〜、身だしなみととのえた

り、くつろいじゃったりしてさ、自然の中にぼくひとりのぜ〜たく、なんつってると、お

いおい、変なのが向こうに立ってこっち見てるよ、おいおい、なんだなんだ、静かにしろ

よ〜、ま、静かにはしてるよ〜だけど、手上げたり下げたり、見てるだけでうっとし〜ね

〜、あんだってゆ〜んだよ、こんにゃろめ、ひとのじゃまして(ひとじゃないけど)、ん

〜ん、ど〜すっかな、こらっ、って怒ってやってもい〜んだけど、めんど〜だし、よし、

も〜、おもしろくないから、どっか行こ、っと、でも、すぐにそ〜すると、ぼくが負けた

ことになるかもしんないから、なんでもないよ〜、ってふりしてからにすっか。


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