12/29のねこさん       文は田島薫

木の上にいたねこさん


ちょうど1週間前の午後、家人がひとりで近所のスーパーへ水とビールなどを買いに出

かけて帰って来ると事務所の私にねこさんいたよー、って報告があったんでその話を。

家人がスーパーからの上り坂を上りきると、向こうに稲荷神社となりの家の狭い庭の一

部が見えるんだけど、そこの2メートル以上ある植木の1本のてっぺんにミケがいるのが

見えたんだって。お、とか、ありゃ、とか少しびっくりしながらそばまで行くと、ねこ

さん、上の枝を切られ葉も落ちてちょうどいい枝ぶりの支えの上に具合よくおさまって、

家人の方をすました顔で見てるんだって。家人、じっと見入ってると、奥の家から奥さ

んがまたミケのひとりが出かけたまま帰って来ないの、などと言いながら出て来たんで、

家人、ねこ、ねこ、ねこ、ねこ、って少し興奮して木の方を指差したんだけど、自分の

話に気がとられてた奥さん、すぐになんのことかわかんなかったらしく、奥さんがそっ

ち見ないうちに、ねこさん木から下りてしまったんだって。


なんだかさ、さっきつめ研ごうと思ってカリカリやってたら、急にこの木上りたくなっ

ちゃったんだよね。上ってみたら、けっこー見晴らしい〜んで、いやいや、まいった。

遠くまで見えるね〜、お、向こうから来んのは、いつも来る人だな、こっち見てるね〜、

じゃ、こっちも向こう見てやっかな。お、だんだんそばまで来てなんだかびっくりした

顔してんね〜。わたしに何か問題でも?いつも見下ろされてたんで、きょうはこっちが

見下ろしちゃってんだけど、それが何か問題でも?あり?おばさんに、さわいでなんか

言ってるね〜、わたしのことを言いつけてんのかな?え?いけなかった?なんだなんだ

そ〜だったの?いけなかったのね、はいはい、下ります下ります下りますよ〜。


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