選挙の争点
最寄りの駅を降りると、辺りの一角が騒がしい。
ちらりと目をやると、たすきをかけた背広姿の男性がマイクを握って演説をしていた。
ああ、選挙運動なのだ、と合点がいって足早に立ち去ろうとすると、「アベノミクスが、
アベノミクスが」といったマイクの声が追いかけてくる。
やっぱり今回の選挙でももっぱら経済が争点になっているようだ。
福島原発事故から3年。まだ汚染水は流れ続け廃炉のめどはたっていない。垂れ流しはこ
れから何十年も何百年も続いていくのに、危機感はすっかり薄れてしまった。新たな原発
神話をつくって原発再稼働も決定したし、安倍さんは日本の原発技術を輸出までしようと
している。
環境汚染のことを考えれば、皆もっと深刻に考えてもいいはずなのに、報道も少なくなっ
たし、人々の話題にものぼらない。
あのとき原発の恐ろしさを身に染みたはずなのではなかったか?
子孫のために、人類の未来のために地球環境を汚してはならないと自覚したのではなかっ
たか?
あのときの一致団結した節電意識は何だったのか?
もう誰も選挙の争点にはしない。
生きる環境を確保するのは、経済とか豊かな暮らしとかいう以前の問題であるはずなのに。
最近のニュース番組で聞こえてくるのはアベノミクスによる景気動向とか、消費税再引き
上げを先送りしたことの是非とか、円安効果とか、低金利政策とか、TPP条約の経緯とか
そんな話題ばかり。
国内ニュースの花形はなんといっても東京オリンピックときている。オリンピックを成功
させるためにはなんでも優先させることができるようだ。
オリンピックに浮かれている間に秘密保護法が成立し、集団的自衛権をめぐる憲法上の解
釈変更など北朝鮮や中国の攻撃を想定した軍備が整いつつある。
ぼんやりとしたモノクロの戦争画像が、カラーとなり、立体的にイメージできるようにな
ったようだ。
福島の事故で、東電も政府の誰も罪に問われなかったように、誰が何を推進しているのか
わからないままに、日本は次第に息苦しい世界へと進んでいる。
選挙の争点は目先にとらわれないでしっかり見据えよう。 |