11/17のねこさん       文は田島薫

枯葉のベッド


きのうの午後遅く、家人と近所のスーパーでビールや牛乳なんかを買った帰りの稲荷神

社となりの家の狭い庭。垣根の間から中をのぞくと(ここまで先週と同じ書き出し)、

発泡の箱ん中にはだれもいない。あたりをながめまわしてみると、奥の家へのアプロー

チをはさんだわきの稲荷神社の小さな石段のわきの草むらの篠竹でちょうどほこらのよ

うになってたところに丸くなってる小さい方のらしいミケの尻が見えた。その手前には

小さなな皿がお供えのように2つ3つ並んでる。ふたりでそば行って、よ、とか、声かけ

たら、こっちに気がついたようだけど、いつものように愛想がないのは同じ。

そのうち、稲荷神社を巻く坂の向こうから奥の家の奥さんがひと探し顔で上がって来た。

その2〜3日前に会った時にも、大きい方のミケが4日ぐらい帰って来ない、って探して

たんだけど、まだそれが帰らないんだ、って言った。ほこらのミケの方はどうも、箱の

そばにあるエアコンの室外機からの冷気がいやなようだ、って。


兄貴はどこ行っちゃったのかな、なかなか帰って来ないもんだから、箱ん中でくっつい

て寝てて暖ったかかったのがだめんなっちゃったじゃね〜の、ひとりで寝てっと、そば

のあのいじわるな箱の穴からさみ〜風がどんどんこっち来るもんで、これじゃ風邪ひい

ちゃうじゃね〜の、ってことでこっちへ移動した、つーわけなんだね〜、いやいや、し

かし、ここは思ってたより暖ったかいね〜、夜だけじゃなくて、も〜、気に入ちゃった

から、あたしゃ住んじゃお〜、って昼間からここで寝ちゃうんだね〜、いやいや、まい

った、夜んなると、おばさんがなんだかもっと暖ったかいもんを持ってきて下に入れて

くれるしね、いやいや、あたしゃしゃーわせもんだね〜。で、兄貴はだいじょぶなの?


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