12/25のねこさん 文は田島薫
向こうむきのねこさん
先週のはじめごろ、自転車で食料の買い出しに出かける途中のねこよこちょう角の家。
庭をのぞくと背中向けた奥さんんが鉢植えの手入れかなにかしてるのが見えて、えっと、
ねこさんは?って探すと、その奥のテラスの上でうす茶のねこさんがやっぱり背中を向
けてじっとしていた。
気まぐれなおばさん、きょうはぼくよりあっちのはっぱのやつの方が大切なようだね。
おばさーん、ぼくのごはんはまだですかー、あっれ?返事なしかよ、はっぱのやつの方
に忙しい、って感じだね。そーなんだ、ぼくなんか後まわしでいんだ、っつーことなん
だね、くやしーね、あんなはっぱのやつのどこがかあいんだ、あんまし動かないし、目
も口もない、ってのに、ぼくのがぜーんぜんかあいーじゃねーの。うーん、じーっとこ
っち見てくやしがってると、なんだかよけいくやしーねー、もー、あっち向いちゃお、
さーて、まーだかな、もーすんだかな、もーいーかい、まーだかな。