12/10のねこさん 文は田島薫
ごはんに遅れたねこさん
昨日の午後、自転車で図書館へ行った帰り、行きにものぞいたねこよこちょう角の家の
庭、きょうはさむいからやっぱりねこさんいないか、って帰ろうとしたら、塀の中から
ねこさんのなき声がするんで戻ってみた。
あれ、ねこさんいないじゃねーか、ってしばらく見てると声だけは聞こえる。変だな、
って思ってると、テラス手前の道よりにある部屋のかげからシックが出て来て、今度は
テラスに上がって行き、ガラス戸に向かってなき始めた。
しばらく見てたけど、だれも出て来ないのに、シックがしつこくなき続けてるのを、ほ
っといて私はそこを立ち去った。
きょうはさむいもんだから、あのぼくのステキな寝床から出るのがおっくうで、朝ごは
んの時間に来れなかったんだよな、おばさん怒ってるのかな、おーい、遅くなったけど、
ごはんくれー、おばさん、ぼくがきたよー、ごはん、ごはん。んと、こっちの部屋じゃ
ないのか、やっぱりいつもの部屋だったか、よいしょ、っと、おばさーん、ぼくだよー、
かあいーぼくだよー、ごはんくれー、おーい、おばさん、かあいーぼくにごはんごはん、
お、ば、さ、ん、ごはんくれー、はやく、でてこい、おばさん、でてこいでてこい、ご
はんもってでてこい、はやく、ごはん、くれー。