「樹の上のひと」
ここんところおかしな陽気が続いているせいなのか
家の垣根のドウザンツツジがどんよりとしていて
いつもの年のように真っ赤にならないでいる。
数十年楽しませてくれた庭中のモミジは恐らく今年で
枯れ朽ちるんじゃないかと思う。昨年に木喰い虫に
やられていたのを見落としてしまった自分が悪い。
幹の途中にうまい具合に挿し木に成功し、二種類の
モミジとカエデの葉で長年楽しませてくれていたのに
今年はすでに晩年。知恵が欲しいけどだめか。

伸ばすバカに伸ばさないバカ、切るバカに切らないバカ
知らなきゃいいものを知らされたばかりに、途方にくれ
ながら庭木をいじりに忙しい。
ジーパン姿で梯子に登っているのだから、どこから見ても
素人丸出しなのが幸いし「精が出ますね〜〜」とか
冷やかしの旦那衆の声が過ぎても、あんがい鈍感になった。
ってわけで、今日ももっさりと繁った金木犀に梯子を掛け
小枝を下ろしつつ眺める。
たかが3〜4メートルの高さでも、それは面白くて散歩
する人が上目使いに挨拶したり、通リ抜ける車ん中が
まる見えだったりする。やせっぽちの女の子がジョギングで
抜ける。昨日は素知らぬ様子だったのに今日は上目使いで
会釈をする。一緒の犬も顔をあげスキップ気味。
幼稚園のころに何度も挨拶していたあの娘がもう中学生
なんだねえ・・・と樹上で思った。
あっちを切りこっちを切り、すっかり理髪店の帰りみたいに
風通しがよくなっちゃって冬を迎える金木犀は、これで
いいんだろか?と不安げな夕方であった。
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