10/24のねこさん       文は田島薫

チビクロまっくろなつく

長期滞在の茨城から夕方帰って来て、からっぽの食料補充のため近所のスーパーへ出かけ

て戻って来たらもうあたりは薄暗がりになっていて、家の前の坂道を下りようとすると、

坂のわきの家の垣根のそばでチビクロまっくろが、一心ににおいかぎをしてた。

暗がりに彼は溶け込んでいるような気分のようで、こっちに全く気づいてない様子だった

んで、すぐそばまで行ってじっと観察していたら、かなりしばらくして、やっと私に気づ

いたようで、どうすんのかな、って思ってると、ごく自然に私のすぐ足下へ寄って来たん

で、頭なでてやった。


ここの垣根んとこ、いいにおいすんだよな〜、なんなんだろうな〜、くんくんくん、や〜

い〜ね〜、うん、これだね、ぼくの好きなにおいは、くんくんくん、ん〜ん?…くんくん、

あり?ちょっと、においに変化があったね、なんなんだろ〜、いいにおいなんだけど、そ

れをじゃまするような別のにおいがまざって、くんくんくん、ど〜したどした、う〜ん、

不思議だ、なんでだろ〜、さっきとにおいがちがって来ちゃって、だけど、いいにおいと、

やなにおいがまざっちゃってる、ってことはこのやなにおいの正体を探して、こんにゃろ、

ってけっとばしちゃえばいいかもしんないね〜、えっと、へんなにおいはこっちか〜、え

〜と、こっちか〜?あり?あの人がいる、これがにおいの正体か、ずっとここにいたのか

〜?ありゃ、けっとばす前にこっちが頭さわられちゃった。や〜、まいったね〜、急にこ

こで逃げるのも変だしな〜。


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