ホーチミンの旅(2)
街角で
ホーチミン市はかつてフランスの植民地だったので、街の中心部にはサイゴン大教会やヨ
ーロッパの駅に似た造りの中央郵便局などのフランス風の建物があり、優雅な並木道もあ
って、小洒落た響きのサイゴンといった名の方が似合うのかもしれない。
といっても、ここに特別世界遺産や風光明媚な場所があるわけではない。ただそこに暮ら
す人々の暮らしぶりを見るのが今回の見所なのだ。
ベトナム戦争後は経済は停滞、大きな企業も育っていず、大きなビルやマンション・団地
などはあまりなく、街は平坦な印象である。
とりあえず人々がお金を稼ぐには物を売ることが手っ取り早いらしい。狭い間口の商店が
道路に沿ってまるでハーモニカのように並び、商品に混じって大抵店先に2〜3台バイク
が置いてあり、ゴチャゴチャした感じがいかにもアジアっぽい。
食べ物屋が多く、暑いのでエアコンのない家にいるよりは外へ出たほうがましなので、店
先は夜遅くまで賑わっていた。
店番をしている人たちもすっかり寛いでいて、食事しながらとか将棋をしながらとか、南
国らしく街路樹とバイクとの間にハンモックを渡し、昼寝をしている人もいる。
店を構える元手がなければ、地べたに布を広げ商品を置けばすぐ商売になるし、またはて
んびん棒に商品を入れた籠をつるして売り歩いたり、路上に七輪を持ち出し、鍋で煮物を
ぐつぐつ煮て売る手もある。
あのベトナム特有の三角菅笠をかぶっててんびん棒を担いでいる人をときどき見かけたが、
正式のアオザイを着た女性は殆ど見かけず、宣伝用や観光用でいまや日本の着物と同じら
しい。
ガイドから聞いた話。ベトナムは社会主義の国だが、選挙もあるし言論の自由もあるが、
やはり賄賂などが横行して役人天国とのこと。米は3毛作もできる恵まれた気候だが、2
毛作しか買い上げてはくれず、あとの1回は果物栽培をするのだという。
木陰でプラスチックの椅子とテーブルで談笑している、ちょっと色が浅黒く小柄で穏やか
な顔つきの人々に私は何か懐かしさを感じて、仲間に入れてもらいたいような気分だった。 |