●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんのシリーズ、ニューヨーカーの友人!からの3。
聞き書き ニューヨーカーの見たニッポン
神経細やかな日本人
レストランに入ると思いのほか暖房が効いていた。
私はハンカチで額の汗をふくと彼女は
「あ、ハンカチね。アメリカではほとんどハンカチにはお目にかからないのよ。だから売れ
ないの。今回は品揃え豊富な日本のハンカチ売り場へ行くのが楽しみ」
というのである。
トイレで手洗い後は温風ドライヤーかペーパータオルですまし、ほとんどのレストランで膝
におくナプキンがついているので、ハンカチは必要ないそうだ。
そして、たちまちトイレ談義に。
日本のトイレはまだまだだそうだ。
まず、バリアフリーが行き届いていない。あの和式トイレの形はとかく汚れやすいし、体に
負担がかかり不便。
きっと日本人はどこの誰が座ったかわからない便座に肌をつけたくないという繊細な衛生観
念のせいだろう。
トイレの良し悪しは経済力と文化意識に関係するという。
さらに、話は飛ぶ。
まず、日本人の家庭に訪れると、まず玄関で靴を脱ぎ、スリッパ。畳の部屋で脱ぐスリッパ。
トイレへいけばトイレ用に履き替えるスリッパ。
まったくスリッパ、スリッパとスリッパ屋さんは儲かる
はずだ、穴のあいた靴下でも履いていようものなら恥をかいちゃうわ、と彼女は笑う。
幾種類ものスリッパを履き替える生活は、日本人の神経質なほどの清潔志向の象徴だという。
そういわれてみれば、殺菌、消毒、無臭なんて言葉がやたらとテレビのコマーシャルに流れ
ているような気がする。