新聞ネタ独白シリーズ
婚活
アタシは雌のトキ。
半年程前に佐渡の狭い飼育場から解き放たれてあこがれの大空へ。もう自由に飛び回れ
るのがうれしくて、うれしくて・・・
佐渡ガ島なんかメじゃないわよ。目指すは本州、宮城県、山形県、最近は富山県まで羽
を伸ばしちゃった。
育ててくれた人間は、トキがこれほど行動半径が広いのは考えられなかったっていって
いるけど、私のDNAは大陸系だからね。
おてんばのアタシは山奥なんかに閉じこまらないでどんどん山里へ出てお気に入りのド
ジョウをパクリ。カラスと空中戦だってやっちゃうの。
でもさあ、春ともなるとアタシだって乙女のはしくれ、恋のひとつもしたいわよ。だけ
ど雄はさっぱり見かけないのよね。なんでも雄は4羽とも島に残り、雌はみんな本州に
渡ったっていうじゃない。まったく雄は意気地がないんだから。今はやりの草食系男子
に肉食系女子という構図は人間と同じ。
本来人間、鳥に限らず動物と名のつくものは雄って生命力、生活力は雌に劣るんじゃな
いかって思うのよ。なんたって雌は子供を産む性だからね。
人間の場合、それが脳の進化でライフスタイルや時代性や便宜上で男が強いってことに
なったみたいだけど、今その神話が崩れようとしているみたい。
ま、そんなことはどうでもいいんだけど、とにかくアタシは結婚したいのよ。年収がど
うの、顔がどうの、なんていわないからさ。丈夫な子を産んで、日々の糧があれば大満
足。それが身の丈にあった生活っていうものでしょ。それを見失うと人間みたいに未来
の分まで食いつぶしたり、利己のために戦争を起こしたりと、結局自分の首を絞めるこ
とになりかねないわよ。
でもアタシの婚活いつまで続けなきゃいけないのかしら。
雄よ、早くでてこい! |